高齢者と乳幼児は、熱中症に特に気をつける必要があります。
高齢者は体温調整や発汗の機能が衰えているのに加え、暑さ自体を感じにくくなっています。そのため、自覚症状のないままに熱中症が進行しているケースも少なくありません。高齢者の熱中症は早くも5月ごろから目立ちます。
めまいや軽い頭痛などの軽症の場合、屋外なら日陰の風通しの良い場所、室内ならエアコンの利いた場所に移動させ、衣服を緩めてゆっくり横になってもらいます。意識がはっきりしているのなら、水分やナトリウムの補給にも努めましょう。
手足の運動障害や嘔吐がある時は、熱中症の中度の症状です。ぬれタオルや氷嚢で体表の冷却に努めましょう。痙攣や意識障害が見られる時は重傷なので、早急に救急車を要請してください。
高齢者に限りませんが、室内でも熱中症になることは珍しくありません。遠慮せずにエアコンをつけること、自分の暑さ感覚を過信しないことなどを、看護師としてアドバイスしましょう。
一方乳幼児は大人より水分の割合が高いので脱水症状になりやすく、かつ、汗腺が十分に発達していないため体温の調整がうまくできません。しかも、乳幼児の場合は言葉で不調を訴えることができないため、顔色や泣き方、体温、汗などから敏感に察知してあげる必要があります。
応急処置は大人の場合と基本的に同じですが、皮膚に直接冷水をかけると血管の収縮で体温がかえって下がりにくくなります。ぬるま湯で体表を濡らし、扇風機などで風を送って気化熱をうまく利用することが大事です。
また、冷たすぎる飲み物は避け、常温の飲み物で水分補給に努めましょう。